別寒辺牛湿原
北海道東部、釧路市と根室市を結ぶラインのほぼ中間に位置します。
ちなみに釧路市から約60キロメートル程で別寒辺牛湿原になります。
この湿原は厚岸湖に注ぐ別寒辺牛川とその支流域に細長く発達しています。
右図では、青線が別寒辺牛川と支流、濃緑色の部分は湿原域となります。
この湿原の面積は約8300ha(ヘクタール=一般的に大地の面積を表示する単位)です。 少々分かりにくい広さですね。
概ね、北海道室蘭市と同じぐらいの広さと思っていただければ良いのですけど、これでも分かり難い。
室蘭って何処?という方もいらっしゃいますので、さらに東京都江戸川区と葛飾区を合わせた大きさ、又は大阪府和泉市と同じぐらいと思って頂ければよろしいと思います。
なぜこのような湿原が誕生したのか?別寒辺牛湿原の誕生は約3000年前に遡ります。
もともと海の底になっていた部分が川から流れ出た堆積物や海底の隆起、海面変動などで変成されたと思われます。
湿原の形成要因として、もう一つ忘れてはならない条件があります。
それは太平洋岸特有の海から入る「霧」です。
この霧は海霧(かいむ)と言われ、温かい海水と冷たい海水が交じり合う洋上で発生します。
この霧は海から入る風(南風)に乗って陸上し、日中の太陽光を遮り大地の乾燥を妨げることとなります。
よって、河川流域に多くの水分が残り約3メートルほどの泥炭層が堆積する要因となりました。
因みに泥炭層とは植物などが枯れ日照不足による低温と水の影響で微生物分解されないまま堆積した土壌をさします。
この湿原は高層湿原、低層湿原、それらの混合している中間湿原、塩性湿地から形成されています。
ここで言う「○○湿原」とは、自然環境により植生の変化する場所です。
例えば「高層湿原」は雨水などが水溜り状に浸食しシダ類やコケ類などの原始植物が発達しやすい環境になっています。
別寒辺牛の高層湿原にはヒメツルコケモモ、ヒメシャクナゲ、タヌキモ、カラフトイソツツジなどが生育しています。
次に「低層湿原」とは、高層湿原よりも幾分乾燥している土壌でイネ科植物やスゲ類などの発達が見られる場所です。
イワノガリヤス、ワタスゲなどが代表的です。
ほかにも、サワギキョウ、エゾノナミキソウ、エゾイヌゴマ、タチギボウシ、ヒオウギアヤメなどの植物が見られます。
湿原中流域は低層湿原で見られる植物が主であるが、所々に高層域で見られる植物が混在する。
こういった場所を中間湿原といい、湿原の構成などを調べるには最もふさわしい場所です。
「塩生湿原」は流域最下部と厚岸湖の合流点付近にて広がる。
この湿原は海水塩分の影響を受け通常の植物は育ちにくい環境となっています。
しかし、一部の植物はこの塩害を克服し生育しているものがあります。
主な植物として「アッケシソウ」が代表的。
アッケシソウは塩分の多い海浜に生える一年草で厚岸湖の東部に分布しています。
名からも分かる通り厚岸町の名にちなんで命名されたものです。
この他の植生地はサロマ原生花園や春国岱野鳥公園などが有名です。
さて、湿原の説明はこの位にしておき、そもそも「別寒辺牛(べかんべうし)」とは何なのか?
言葉自体はアイヌ語が起源のようです。
使われている漢字は当字として、言葉を分解して解説いたします。
「べかんべ(ペカンペ)」とは植物の「ヒシ」をさします。
続いて「うし(ウシ)」とは、「多いところ」もしくは「何かがある」という言葉になります。
以上のことから「ヒシがある」または「ヒシの多いところ」と言う言葉になります。
現在の湿原でヒシの実を見ることはなくなりましたが、少し前までこの場所にも「ヒシがひしめき合うほど」あったのでしょう・・・
別寒辺牛、なんとなくおわかり頂けました?
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